ハーベストでは何種類かの小麦粉を使い分けています。
手作りパンだからこそ、材料から自分で選ぶことができます。
また余計なものを入れずにパン作りができます。
北米産の強力粉のカメリア、薄力粉のバイオレットなどおなじみのものから、
フランス産小麦粉のレジャンデール。
国産小麦の粉もいろいろ使っています。
小麦粉の品種で言うと、
ハルユタカ、春よ恋、ゆきちからなど。
ライ麦の全粒粉も北海道産です。
粉を使い分ける理由は、パンの種類に応じた生地の食感を出すため。
しっとりした食感の食パン、
ソフトな菓子パン、ロールパン、
もちっとした食感のフランスパン、
軽い食感のフランスパン。
それぞれ適した粉があります。
国産小麦のパンは面白い食感があります。
ハーベストのパンドミはハルユタカと、春よ恋をブレンドしていますが、
トーストするとバリバリとした噛み心地、
でも生地はモチモチしている。
今まで食べてきた食パンとは違う食感があります。
私が子供のころ昭和30年代は、白くて、やわらかくて、甘いパンが良いパン。
フランスパンというものもありましたが、型に入れて焼かない丸いパンでした。
中学生になった昭和40年代にはドンクのフランスパンが出て、びっくりしました。
外がパリパリで硬くて塩味が効いていてそのままかじっても美味しいのです。
硬くて、甘くないパン。パンを好きになった原点です。
パン屋の開店を考えたとき、いろいろなパンを食べてみました。
本格的なパンの有名店にも行きましたが、
一方で安心して食べられるパンをということで、
「国産小麦」「自家製酵母」のパンを自然食品の店で買ってみました。
知り合いの働く店に行ったら、
全国のいろいろなところから取り寄せていました。
日持ちをさせるため、しっかり密閉包装をして、脱酸素剤が入っているものが多く、
値段はかなり高め。
パンは焼きたてを近所で買うものと思っていた私には違和感がありましたが、
食べてみると何とも不思議なおいしさがありました。
国産小麦には独特の食感があって、
やわらかいパンや、フランスパンとは違うけど、
なんだか懐かしいような、なじみがあるようなおいしさがありました。
ハーベスト・ライはゆきちからと、北海道産のライ麦を使っていますが、
さくさくとした食感で、何ともいえない粉のやさしい味がします。
国産小麦を使うことで、自給率の低い日本の農業を守る手助けをできたらとの気持もあります。
身土不二とか地産地消など、
身近な食べ物を食べることも大事だと考えています。
また、開店準備をしていた時世界の穀物価格は高騰し、
輸入小麦の価格が値上がりを続け、国産小麦の値段と変わらないないという状況もあり、
国産の粉を選びやすくもありました。
国産は安心、輸入したものは不安という考えがありますが、
食品の安全性が重視される中で、偽装などの犯罪や事故は別にして、
普段口にするものにすぐに健康を損ねるものが入っていることはなくなりました。
すべてを国産ではまかなえないのですから。
いたずらに不安をあおるようなことを言って自分の商品を買わせるようなやり方には、
疑問を感じます。
もちろん、安心な食べ物を作ることに努力している人たちを、
応援したいとおもっています。
ハーベストのパンは手作りです。
安心して食べられるということが一番です。
その上で、おいしいパンを作れる材料を選んでいこうと思っています。
ハーベスト店主
石井文夫